豪ドル/円相場は、90円の節目を挟んで揉み合う展開になっている。主要通貨に対して円売り圧力が再開されているが、対豪ドルに関しては未だ円高傾向を完全に否定するには至っていない。対米ドルでも豪ドル安傾向が加速していることもあって、弱さ比べの中で明確な方向性を打ち出せていない模様だ。
ここにきて、中国の流動性リスクが新たな豪ドル売り材料として浮上している。中国人民銀行がシャドーバンキング(影の銀行)に対する規制強化を強める中、短期金融市場で流動性供給を絞っていることが、短期金利の急伸を招いているためだ。足元では混乱状況が徐々に収束方向に向かっているが、それでも企業の資金調達コスト上昇は避けられず、実体経済への影響が警戒される状況になっている。ただ、人民銀行の当局者は一時的な混乱との見方を示しており、実際に足元では株価は乱高下しているものの、短期金利は徐々に落ち着きを取り戻している。中国市場発の豪ドル売り圧力は徐々に後退する方向で見ている。
もっとも、「アベノミクス」に対する信認を取り戻さない限りは、豪ドル/円相場の反発余地は限定されることになる。オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)は依然として豪ドル相場の水準が高過ぎるとの評価を維持しており、追加利下げ観測がくすぶり続けている。こうした中、ドルサイド主導でドル/円相場を押し上げても、豪ドル/円相場に対する押し上げ効果は限定的とならざるを得ない。必要なのは、ドル高ではなく円安であり、豪ドル/円相場はボトム確認の条件整備こそ進んでいるが、未だ本格反発シナリオが描けない状況になっている。目先は特に円関連の大きなイベント等は予定されておらず、豪ドル/円相場のボトム確認と反発との間には大きな距離を認めざるを得ない。底固さを見せているものの、本格反発を想定するのは難しい。現行価格水準で保ち合い気味の展開を想定したい。
今後1週間の予想レンジは、89.00~92.00円。